2008年10月30日

◆ ストリートビューの画像精度

 ストリートビューの画像精度(画質・解像度)について論じる。そのことで、問題点がいっそう明らかになる。 ──

 ストリートビューについては、高木浩光氏が精力的に論じている。しかし私には、生ぬるすぎる(論点がズレている)としか思えない。そこで、どこが核心であるかを示そう。

 まず、高木浩光氏のサイトは、ここだ。
   http://takagi-hiromitsu.jp/diary/

 最新のページは、ここだ。
   http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20081028.html

 ここでは、調布飛行場の道路にストリート・カー(俗称・ストーカー?)が侵入・進入していることが示されている。
 タイトルが「バリケード突破」と仰々しい割に、実際はそうではなく、ただの「通行止めの柵を 回避しただけ」なので、ちょっと羊頭狗肉だが。(というか、タイトルはジョークですかね? 工事中の柵の回避なら、私もしょっちゅうやっていますよ。)
 
 ま、どうでもいいことはさておき。
 高木氏のページでは、あれやこれやとストリート画像の現物が列挙されているが、どれもこれも、画像が粗すぎる。そのせいで、楽観している人が多いようだ。
 「ストリート画像って、結構、粗いんだな。このくらい粗ければ、あまり問題はないな」
 と。実際、次のような世論調査がある。
 ストリートビューの提供地域の制限に関する設問では、「制限は不要」とした人が 31.8%、「一部地域には制限が必要」が 46.3%、「全面的に禁止して欲しい」が 21.9%だった。
 このうち、「一部地域には制限が必要」と回答した人に「日本でのストリートビュー撮影地域はどこならば良いと思いますか?」と聞いた設問(複数回答)では、「観光地はOK」が最も多く 90.2%、以下、「大通りはOK」が 78.5%、「ビジネス街はOK」が 59.5%、「商店街はOK」が56.6%、「国道沿いはOK」が 49.8% 、「歓楽街はOK」が 45.9%、「高級住宅街はOK」が 4.9%、「一般住宅街はOK」が 3.4%だった。

( → http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/28/21341.html
 「制限は不要」とした人が 31.8%もいる。これらの人は、大いに楽観しているのだろう。「あんな粗い画像ならばたいしたことはない」と。

 しかし、現実に提供される画像は、かなり鮮明なものが含まれる。一例を挙げると、これだ。(キャプチャー画像。大サイズ)
street.jpg
   ( ※ クリックして 別画面表示 )
 ──

 ここは、寅さんの場所、葛飾柴又である。住宅地でなく商業地。(人物にはモザイクをかけておいた。)
 なお、画像の出所は、ここだ。
   → Google マップ

 一般に、このように大きな鮮明な画像を出すには、次の手順を取る。
 (1) あらかじめパソコンの画面解像度を 1024× 768 以上にする。
  (それ未満では駄目。画面解像度はなるべく高くした方がいい。)
 (2) Google マップでストリートビュー・モードにする。
 (3) 画面上部中央のあたりにある << というボタンをクリックする。
( ※ この操作をすると、画像が横にワイドになる。ただし縦方向はカットされる。どちらにするかは任意。)
 (4) ストリートビューの右上にある「全画面」ボタンをクリックする。


 以上の手順で、拡大された画像が見える。同時に、鮮明度(解像度)も増す。
 ( ※ 1024 画面ならばワイドの方がいい。1280以上ならば、ワイドでない方がいい。いったん画像を保存したあとで、拡大表示すると、よく見える。)

 ──

 さらに画像の解像度を増す方法がある。それは、
  「対象に近寄ること」

 である。といっても、画面でそんな操作はできない。そこで、かわりになすのは、
  「対象に近寄っている画像を探すこと」
 だ。その一例が、先の葛飾柴又の画像だ。

 では、このように「対象に近寄っていること」をなした画像は、どこにあるか? あちこちをわざわざ探せばいいか? 
 いや、そんな必要はない。単に「狭い道」を探すだけでいい。狭ければ自動的に、対象に近づくことになる。
 実は、「狭い道」というのを考えたとき、頭に浮かんだのが、(商業地としては)葛飾柴又だ。だから、探そうとしたとき、手間をかけることもなく、一発で見つかった。

 では、葛飾柴又は、例外か? なるほど、商業地としては、例外の方かもしれない。渋谷や新宿のような繁華街では、道はもっと広いからだ。また、渋谷のような繁華街の狭い道は、ストリートカーは入らないことが多いようだからだ。
 その意味で、「狭い商業地」というのは、商業地のなかでは例外の方に属するかもしれない。(商業地ならばたいてい、車が二台が楽々と通れるくらいの幅があるはずだ。)

 ──

 しかし、である。住宅地はどうか? 住宅地はもちろん、狭い道が多い。自動車が2台がやっと通れる程度の道が多い。そこでは必然的に、住宅に近づいて撮影する。
 しかも、先に述べたように、大画面で精細な画像を見ることができる。となると、たいていの住宅は、覗き見の され放題なのだ。

 これは冗談ではない。実は、私の自宅が、とうとうその被害に遭ってしまった。  (^^);
 実は、二週間前に見たときは、自宅前の道をストリートカーは無視していた。やや離れたところにある広めの道は通ったが、自宅の前の道は通らなかった。
 しかし、昨日見たら、いつのまにか再訪したらしく、今度は自宅の前の道にもぐりこんできた。自宅は見事に、撃墜されてしまった。(盗撮ですかね?)
 解像度抜群。洗濯物もバッチリ。どこもかも丸見えふう。恥ずかしい!!

( ※ 当然だが、表札もバッチリ映っている。近所の表札はすべて見える。個別の文字は画像からは判読できるほどではないが、事前に名字を知っていれば、おおよそ確認することはできる。画像をクリックして拡大すると、さらによく確認できる。そう言えば、「立ち入り禁止」の文字を含めて、たいていがそうだ。)

 ──

 こうして、問題がどこにあるかが、わかっただろう。
 問題は、高木氏の指摘するように、「駐車場や墓場や女子校や飛行場に、違法に進入すること」ではない。そんなことを取り締まるのは、交通取り締まりの婦警さんや、交番のお巡りさんにでも、任せておけばいい。そんな小さな犯罪は、われわれの知ったこっちゃないのだ。Google が交通違反で逮捕されようが逮捕されまいが、どっちだっていい。
 問題は、われわれの住居が丸見えになることだ。いや、丸見えになるだけなら仕方ないが、それを勝手に盗撮されて全国公開されることだ。たとえると、女性がスカートのなかを盗撮されて全国公開されるのと、同じぐらいの恥ずかしさ・気持ち悪さがある。
( ※ 「それでもいいさ」と思う人もいるだろう。しかし、そういう露出狂は、ここでは相手にしない。露出狂は勝手に、裸を露出していればいい。私としては、羞恥心のある人々に向かって、問題を論じる。)

 ──

 ストリートビューの問題を、たいていの人は理解していないようだ。
 多くの人々は、「粗い画像さ。プライバシーは侵害されないさ」と楽観している。
 高木氏は、「撮影行為だけが問題だ。情報については私の知ったこっちゃない」という立場だ。
 しかし私は「これは情報の問題だ」と指摘する。ここでは、個人の情報が勝手に盗まれて、勝手に販売されてしまう(営利活動に利用されてしまう)、ということが問題なのだ。
 これはまさしく、情報化社会における、情報の問題なのだ。情報化社会というとき、人々は「情報を得る」ことばかりを考えている。しかし今や、人々は「情報を奪われる」立場になった。

 これは、情報化社会における、非常に大きな問題なのだ。しかし、高木氏も含めて、これが情報の問題であるということに、たいていの人が気づかない。また、「情報を得る」ことばかりを考えていて、「情報を盗まれる」ことを考えていない。
 ただ、これは、一種の皮肉かもしれない。思えば、次のことがあった。
 「著作権を無視して、Winny でコピーのし放題」
 「音楽も勝手にコピーのし放題」
 こういう状況を、多くの人が「便利だな」と思って、「著作権者の著作権なんか、ないがしろにしてしまえ」と思っていた。そして、そういうふうに「盗んでしまえ」「盗めば得をする」という発想に染まった人々が、今やしっぺ返しを食らっているのだ。

 では、なぜ? それは Google が利口だからだ。Google は、人々が自分勝手な泥棒行為をするのを見て、「これをおれの商売に利用してやれ」と思った。まずは Youtube で、著作権無視の違法動画コピーを蔓延させた。こうしてさんざん情報を盗みまくった。(今ではいくらか程度を収めているが。とにかく、そういう違法行為をきっかけにして、大儲けをした。)
 そして、そういう違法な活動の延長上に、今度は矛先を変えた。著作権者の著作を盗むだけでなく、世界中の個人の情報を盗もうとした。一円も払わずに。
 こうしてストリートビューという違法な情報泥棒がまかり通るようになたのだ。
 そして、Google がそういうあこぎな商売をできるのは、ほかでもない、われわれが愚かだからだ。
 「この程度の粗い画像なら平気さ」
 「問題は撮影行為の違法性だけさ」
 と人々が浮かれているのを、まんまと逆用して、おおっぴらに情報泥棒をやらかして、大儲けするわけだ。

 無知な連中を利用して、彼らの情報を奪えば、大儲けできる。情報化社会とは、他人の情報を盗んで、自分が儲けることだ。そのことを Google は教えてくれる。そしてまた、Google はわれわれの愚かさをも、教えてくれる。しかしながら、愚かなわれわれは、いくら教えてもらっても、おのれの愚かさを理解できないのである。
 かくて Google は、さんざん儲けるばかり。われわれは盗まれながら、「ストリート画像が見られる」と喜ぶばかり。パチパチと拍手して。

 シンバルを打つ猿ですかね? ( → 画像



 [ 付記1 ]
 何が核心かは、すでに示した。次に、何が核心でないかを、示そう。次のことだ。
  ・ 交通違反
  ・ 私有地に入る
  ・ 画像を事前チェックしない
  ・ 配慮が足りない

 こういうことはすべて、核心ではない。逆に言えば、次のようにしても、たいして意味はない。
  ・ 交通違反をしない
  ・ 私有地に入らない
  ・ 画像を事前チェックする
  ・ 配慮が足りている

 こういうことをすべてやったとしても、それでもストリートビューは駄目なのだ。「態度を改めれば済みます」という問題ではない。根源を改める必要がある。

 では、根源とは? 
  「住宅地の画像を公開する」

 ということだ。これがそもそも根源的に間違っている。だから、その後のやり方をいくら修正しようと、全然ダメなのだ。
 比喩的に言えば、地下鉄でサリンを撒こうとしている人に、「地下鉄の車内では被害が多大だから、地上に出て歩道でやりなさい。そうすればサリンが拡散するので、被害が減ります」と勧告するようなものだ。馬鹿げている。やり方の問題ではないのだ。やり方を是正すればいいというものではないのだ。「人のいるところでサリンを撒く」ということが根源的に狂っている。そこを批判しなくては、意味がない。
 一方、だからといって、「毒物の利用をすべて禁止せよ」ということにもならない。そんなことになったら、青酸カリなどの有毒化合物をすべて利用できなくなって、社会の生産活動がストップしてしまう。限定された範囲内では、毒物の利用も許される。「あらゆる毒物を禁止せよ」というのは、ヒステリックすぎる。
 大事なのは、「被害が起こらないようにすること」である。そういう制御だ。そして、その制御が、ここでは「情報の制御」にあたる。
 何でもかんでも情報をばらまけばいいのではなく、情報を適切に制御する知恵が必要だ。その知恵がないところに、われわれの不幸がある。
( ※ 21世紀の人間は、まだまだ未開人なのである。将来の人間から見れば、猿のようなものに過ぎまい。自分で自分の頭をぶんなぐる猿。)

 [ 付記2 ]
 飛行場の問題は、大騒ぎするほどのことではないようだ。というのは、無意味にやたらと「立ち入り禁止」の表示が出ているからだ。たとえば、これ。
  → 通路入口付近

 これの中央に「立ち入り禁止」の表示がある。(画像をクリックすると拡大表示される。)
 しかし、この「立ち入り禁止」は、立ち入り禁止ではない。というのは、この先に喫茶店があるからだ。
    → プロペラカフェ
 ここは「誰でもご自由にご来場下さい」となっている。ただし、上記の「立ち入り禁止」を無視しないと、そこにたどりつけない。
 なお、上記の画像では、T字路になっている。直進すれば、その先でタクシーが通っている画像が見える。つまり、誰だってここを通っているのだ。
 一方、T字路を右に行くと、例の高木氏の指摘した「この画像はなくなりました」という場所に行きつく。同じことだが、先の直進路をどんどん進んでも、道が U ターンするので、やはり「この画像はなくなりました」という場所に行きつく。
 とにかく、このあたり、一般人が自由に通っている箇所で、やたらと「通行禁止」や「立ち入り禁止」があるようだ。よく見ると、単純な「立ち入り禁止」じゃなくて、「関係者以外立ち入り禁止」である。
 で、喫茶店に立ち寄る人は、関係者だから、立ち入ってもいい、ということなのだろう。たぶんね。さもなくば、喫茶店の件は、わけがわからなくなる。
 とすると、ストリートカーの問題は、「この道を通ったこと」にあるのではなく、「喫茶店に寄ってコーヒーを飲まなかったことにある」にあるのだろう。  (^^);
 したがって、高木氏は、「飛行場に入ったのが、けしからん」と批判するべきではなく、「飛行場のそばの喫茶店でコーヒーを飲まなかったのが、けしからん」と批判するべきだった。
 そして、そうすれば、Google は今後、問題の解決のために、コーヒー代を支払うようになるだろう。
 
( ※ 私も仕事中に飲むコーヒー代を払ってほしいですね。いつも自腹なので。  (^^); )

 [ 付記3 ]
 蛇足だが、この「飛行場侵入」は合法であろう。
 航空法などで規定されている違反行為は、飛行機の通る場所(滑走路や格納庫)への侵入である。それ以外への周辺道路への侵入は、航空法などとは関係ない。
 強いて言えば、前にも述べた「住居侵入罪」だ。しかし、どこかにゲートがあるわけでもなく、「ここからが住居」と区切れるわけでもなさそうだ。となると、「住居侵入罪」も難しい。
 「立ち入り禁止区域への侵入」は、民事事件(損害賠償の請求)にはなりそうだが、刑事事件(罰金・禁固刑)にはなりそうもない。要するに、立ち入り禁止の看板を出した当事者以外は、騒ぐ資格はないのだ。騒ぐだけ無意味。

 強いて言えば、このような批判は、「世論を掻き立てて、特定の対象をいじめてやろう」という魔女狩り行為の意味があるくらいだ。だが、そういう大騒ぎは、それ自体が犯罪であろう。誹謗中傷みたいなものだ。今回の件で、Google が逮捕される懸念はないが、高木氏が逮捕される懸念はなきにしもあらず。この程度のことで大騒ぎするのは、馬鹿げている。下手をすると、プロペラカフェの客がみんな犯罪者扱いされてしまう。
( ※ 私が思うに、高木氏は、滑走路と周辺道路の区別がつかないのだろう。そこで、「あいつらが滑走路に侵入した」と感じて怒っているのだろう。なるほど、滑走路に侵入したのなら、大犯罪だ。しかしそれは、勘違い。相撲で言えば、勇み足。)(要するに、方向違いの方向に進んではダメ、ということ。思考のカーナビをもちましょう。  (^^); )

 [ 付記4 ]
 とにかく、ストリートカーの撮影違反など、いくら咎めても、末端の雑魚がつかまるだけだ。社としても責任逃れが可能だ。
 しかし、そんな雑魚など、どうでもいい。肝心のボスこそが問題なのだ。このボスの犯罪は、たかが交通違反程度ではない。もっと巨大な犯罪をなしている。特定の一箇所でなく、全国規模で。
 その巨大な犯罪を咎めることこそ、今は必要なのだ。そこを理解する必要がある。

( ※ ただし、別の見解もある。「高木氏は、ストリートビューの欠点を指摘することで、ストリートビューの品質改善のために役立っている。彼は Google のために、無償奉仕しているのだ。QC 運動の一環として」という見解だ。……ふうむ。悪口を言うことで、相手の品質を改善させ、Google の金儲けに奉仕する。そういうことですか? むむむ。私もそこまでは考えが及ばなかった。つまり、「嫌い、嫌い」と言いながら、ツンデレだったということ?   (^^); )

 [ 付記5 ]
 読売新聞(夕刊 2008-10-30 )からの引用。
 《 プライバシー侵害、米では賠償訴訟 》
 ストリートビューは米国で 2007年5月から始まった。フランスでは今年7月、日本とオーストラリアでは今年8月にスタートした。
 しかし、自宅や個人などの画像も写し出されるため、トラブルも起きており、アメリカでは自宅を撮影されたペンシルベニア州の夫婦がプライバシーの侵害にあたるとして慰謝料などを求めてグーグルを提訴。
 また、国防総省が今年3月、軍事施設の撮影を禁じる指針を出したため、基地の画像が削除された。カナダでは 07年8月、プライバシー委員会委員長が「自分の姿が写っているのを知らない人もいるので、削除要請を受けるだけでは解決にはならない」との文書を郵送。すでに撮影が進められていたが、導入には至っていない。
( → 読売新聞
 なお、読売新聞の記事(上記)では、東京駅前(八重洲口?)の画像が示されている。そのせいかどうか知らないが、東京駅前(丸の内口)の画像がいくつも削除されてしまっている。
( → 東京駅前・丸の内口

 これはどういうことか? 駅前は、個人住宅よりも、プライバシー性が高いのか? それとも、お偉いさんの画像が映っていて、排除されたのか?  (^^);

 [ 付記6 ]
 大画面で表示するには、上記とは別の方法もあるが、ここでは解説しない。サンプルのみを示す。
 1024 以上の画面でご覧ください。
        → サンプル画像
posted by 管理人 at 19:00| Comment(0) | Google | 更新情報をチェックする
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